日本古代の氏はいかなる性格を持つ集団なのか。
各氏の称する系譜は、王権のもとにまとめられた系譜体系といかに関わっているのか。
それらは、時代とともにどのように変容するのか。
共通の問題意識を踏まえ、気鋭の研究者たちが縦横に論及する。
篠川 賢
1950年、神奈川県生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。現在、成城大学文芸学
部教授。主な著作:『日本古代国造制の研究』(吉川弘文館、1996年)、『日本古代の王権と王統』(吉川弘文館、2001年)、『物部氏の研究』(雄山閣、2009年)など。
はしがき
第一部 氏と系譜伝承
『古屋家家譜』と紀伊国─『日本霊異記』上巻第五縁の説話との関係性を踏まえて─ (加藤謙吉)
土師氏の系譜と伝承─野見宿禰を中心に─(溝口優樹)
上毛野氏の形成と展開(須永 忍)
和気清麻呂と「和氏譜」(中川久仁子)
第二部 氏の系譜と史料性
『新撰姓氏録』における氏の系譜構造(竹本 晃)
「連公」と系譜史料(中村友一)
『日下部家譜大綱』の諸本について(鈴木正信)
小野氏系図小考―中央貴族の小野氏と武蔵国出身の横山党との連続性について―(榊原史子)
系譜史料論の試み─岩瀬文庫蔵「法相宗相承血脈次第」影印・翻刻を通して(藤井由紀子)
第三部 氏と地域社会
「既多寺知識経」と氏寺(三舟隆之)
須恵器生産と部民制(大川原竜一)
高麗朝臣氏の氏族的性格―二つの「高麗」をめぐる記憶の受容―(長谷部将司)
古代東北の豪族と改賜氏姓(永田 一)
稲置に関する一試論(堀川 徹)
「名」と系譜―品部廃止詔の「名」―(篠川 賢)