X線回折・走査電子顕微鏡観察・透過電子顕微鏡観察による絵具47色の微細構造の分析をもとに、絵画・染色・漆器・陶磁器に実際に使われた絵具の微細構造、絵具劣化の仕組みなどについて幅広く研究する―
今後の絵具類研究の方向性を示し、絵画系文化財の保存・修復のための材料科学的基礎を築く。
北田正弘(きただ まさひろ)
1942年 東京に生まれる
1966年 東北大学大学院工学研究科・金属材料工学専攻修士課程修了
1966年 (株)日立製作所入社・中央研究所に勤務
1997年 東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻・教授,美術工芸材料学研究室
2009年 東京藝術大学名誉教授
現 在 (独)奈良文化財研究所客員研究員,(一財)総合科学研究機構特任研究員
工学博士(1973年: 超電導材料の研究)
≪主要著書≫
単著: 『初級金属学』(アグネ,新訂版: 内田老鶴圃),『江戸小紋の紋様と幾何学的解析』『室町期日本刀の微細構造』『Beauty of Arts-from Material Science-』(以上内田老鶴圃),『機能材料辞典』(共立出版),『かたちの博物学』(アグネ承風社),『アモルファス』(日経サイエンス社),『江戸の知恵・江戸の技』(日刊工業新聞社),『日本刀の材料科学』『高松塚古墳の材料科学』(以上雄山閣)
共著:『未来をひらく超電導』『超電導を知る辞典』『金属間化合物を知る辞典』(以上アグネ承風社)
編著:『鉄の事典』(「第1 章鉄の科学文化史」)『マテリアルの事典』(以上朝倉書店),『金属学のルーツ』(内田老鶴圃)『オプトエレクトロニクスを知る辞典』(アグネ承風社),『デバイス材料工学』『薄膜材料工学』『超電導材料工学』(以上海文堂),『センサを知る辞典』『機能材料入門上・下』(以上アグネ)
訳書: ジルファルコ著『入門結晶中の原子の拡散』(共立出版),サイツ著『シリコンの物語』(内田老鶴圃)
監修:材料学シリーズ,水谷宇一郎著『金属電子論』他47冊(内田老鶴圃)
第1章 絵具の基礎― 油絵具の微細構造―
アイボリーブラック、イエローオーカー、コバルトブルー、スカーレットバーミリオン、プルシアンブルー、ベネチアンレッド、マルスオレンジなど47色
第2章 油絵・西洋兜・漆・色貝
1921年に描かれた風景画/明治後期・山田馬介油画/和田英作油画/14世紀の西洋兜飾/漆椀/色貝
第3章 染色の絵具
唐桟布のクロム酸鉛/カーキ染めした木綿繊維/捺染布の顔料/鉱物染め・鉱物捺染/金属箔および粉
第4章 絵具の変化
鉛丹の黒変現象/鉛白の黒変現象/緑青焼け/浮世絵版画/水没絵
第5章 陶磁器の絵具
初期伊万里焼/柿右衛門様式磁器/元禄伊万里焼/古九谷焼/唐津焼/ローマ帝国時代陶器/焼き物の修理と音響
第6章 日本画の絵具
鉱物顔料の結晶構造と成分/群青/緑青/緑青と群青の熱変化/旧大和水銀鉱山産の辰砂鉱石の微細構造/伎藝天像/江戸時代扁額
第7章 印刷物の絵具
インキュナブラ/グレゴリア聖歌集/ル・モンド・イリュストレ