27cm/B5判上製・カバー/372頁(オールカラー)
歴史的建造物の外観塗装材料として多用されてきたベンガラ顔料に着目し、その種類ごとの性状や製造法の分析結果をもとに、元興寺五重小塔から厳島神社社殿まで奈良時代から近代に至る16の木造建築物に塗装痕跡として残るベンガラ顔料の使用状況や歴史的変遷の調査結果を詳細に報告する。
初版刊行後の調査成果として、5章50ページにわたる増補を行った増補改訂版。全図版オールカラー。
北野 信彦(きたの のぶひこ)
1959年 名古屋市生まれ。
1982年 愛知大学文学部史学科卒業。
(財)元興寺文化財研究所保存科学センター 主任研究員、(独)国立文化財機構 東京文化財研究所保存修復科学センター伝統技術研究室 室長および東京藝術大学大学院文化財保存学 連携教授などを経て、現在、龍谷大学文学部 教授。
博士(学術:京都工芸繊維大学・史学:東京都立大学)
〈主要著書等〉
単著:『近世出土漆器の研究』(吉川弘文館)、『近世漆器の産業技術と構造』(雄山閣)、『ベンガラ塗装史の研究』(雄山閣)、『桃山文化期漆工の研究』(雄山閣)、『建造物塗装彩色史の研究』(雄山閣)、『天下人たちの文化戦略― 科学の眼でみる桃山文化―』歴史文化ライブラリー566(吉川弘文館)など
分担執筆:『日本民俗大辞典(下)』(吉川弘文館)、『遺物の保存と調査』(クバプロ)、『文化財科学の事典』(朝倉書店)、『環境考古学ハンドブック』(朝倉書店)など
本「増補改訂版」で増補を行った章を太字で表示しています
緒論
第1節:本書の目的
第2節:本書の調査方法
1:本書で調査に供した資料/2:現地における調査方法/3:現地調査で採取した微量な塗装試料(サンプル)の分析方法
第3節:本書の構成
本論:基礎編(第Ⅰ部)
第1章: 赤土ベンガラ―文献史料に登場する「赤土」に関する基礎的調査―
第2章: 丹土ベンガラ―いわゆる「丹土」と称されるベンガラに関する基礎的調査―
第3章: 赤泥ベンガラ―豊後国風土記に記された「赤湯泉(あかゆ)」の赤泥状沈殿物に関する基礎的調査―
第4章: パイプ状ベンガラ―パイプ状ベンガラの生産と使用に関する基礎的調査―
第5章: 鉄丹ベンガラ―「鉄丹」と称される人造ベンガラの製法と生産関連出土資料に関する基礎的調査―
第6章: ローハベンガラ―「礬紅」もしくは「弁柄」と称される人造ベンガラの性状と製法に関する基礎的調査―
第7章: 現代のベンガラ―塗装修理材料としてのベンガラ顔料の再評価に関する基礎的調査―
本論:応用編(第Ⅱ部)
第1章:元興寺五重小塔(国宝)の取り外し部材
第2章:海龍王寺五重小塔(国宝)
第3章:平等院鳳凰堂(国宝)
第4章:浄瑠璃寺本堂(九体阿弥陀堂)(国宝)
第5章:三仏寺奥院(投入堂)(国宝)の取り外し部材
第6章:海住山寺五重塔(国宝)の内陣四天柱塗装材料
第7章:島田神社本殿(重要文化財)
第8章:元興寺極楽坊(国宝)の取り外し部材
第9章:嚴島神社摂社大元神社本殿および内陣の三玉殿(重要文化財)
第10章:興福寺東金堂(国宝)ほかの取り外し部材
第11章:安楽寺多宝小塔(重要文化財)
第12章:柏原八幡宮(重要文化財八幡神社)社殿
第13章:蓮華王院本堂(通称名:三十三間堂)(国宝)
第14章:石清水八幡宮摂社狩尾社本殿(重要文化財)
第15章:金峯山寺蔵王堂(本堂)(国宝)
第16章:初期の日光社寺建造物群(国宝)
第17章:比叡山延暦寺根本中堂(国宝)
第18章:浅草寺二天門(重要文化財)
第19章:宇治白山神社(重要文化財)境内廃棄の紀年銘墨書部材
第20章:弁柄窯元・旧片山家住宅(重要文化財)
第21章:嚴島神社社殿の建造物群(国宝)
結論:本書のまとめ
第1節:歴史的な木造建造物の塗装に使用された赤色顔料
第2節:英文 要旨:Outline of this Study
Traditional View on Bengala pigment(Hematite, α -Fe2O3) coating on wooden Architectures in Japan
おわりに