「明治大学日本先史文化研究所 先史文化研究の新視点」シリーズ完結となる第5巻!
縄文時代に巨大な内湾を形成していた霞ヶ浦の貝塚から、生業活動と社会の特性を考える。
陸平貝塚・上高津貝塚などの霞ヶ浦の湖岸貝塚の調査・研究を集成。関東地方の東京湾東岸・奥東京湾などを含め、文化資源としての貝塚の多様なありかたと地域性を考える。
阿部芳郎(あべ よしろう) 1959 年生
明治大学文学部教授 明治大学日本先史文化研究所所長
主要著作論文 「縄文時代の生業と中里貝塚の形成」『中里貝塚』2000
「大森貝塚の調査と大森ムラの実像」『東京の貝塚を考える』雄山閣、2008
「加曽利貝塚の形成過程と集落構造」『東京湾巨大貝塚の時代と社会』雄山閣、2009
「「藻塩焼く」の考古学」『考古学研究』63-1、2016
序文
第Ⅰ章 古鬼怒湾における貝塚研究のあゆみ
1 霞ヶ浦の貝塚研究史 関口 満・亀井 翼
霞ヶ浦の貝塚調査史(1945 年以前)
霞ヶ浦の貝塚調査史(戦後~ 1975 年)
霞ヶ浦の貝塚調査史(1975 年以降)
霞ヶ浦沿岸貝塚とその出土資料を対象とした研究史
2 陸平貝塚に学ぶ 川村 勝
“ 陸平” 貝塚の発見
世に出た陸平貝塚
陸平貝塚の再発見
第Ⅱ章 霞ヶ浦の貝塚
1 大谷貝塚を掘る 川村 勝・阿部きよ子
大谷貝塚の調査
大谷縄文人の生活と環境
大谷貝塚の調査から見た貝塚調査の意義と課題
2 陸平貝塚の形成過程 中村哲也
陸平貝塚の地勢
保存のための確認調査
周辺の遺跡群の調査― 陸平遺跡群の調査―
住民参加による新たな確認調査
陸平貝塚の形成過程
陸平貝塚形成の謎
3 上高津貝塚の研究 石川 功
上高津貝塚の環境
上高津貝塚の特質
4 製塩活動の展開と霞ヶ浦の地域社会 阿部芳郎
縄文土器製塩研究の展開
広畑貝塚・法堂遺跡の分析
製塩の起源
近年の成果と新たな課題
5 湖岸の地形発達と遺跡形成 亀井 翼
霞ヶ浦の環境変遷
湖岸平野の形成と遺跡
谷底低地の陸地化と遺跡
第Ⅲ章 資源利用と縄文社会
1 動物遺体からみた霞ヶ浦の貝塚の特徴― 陸平貝塚の調査成果を中心に― 樋泉岳二
古環境
動物資源利用
2 余山貝塚の漁労活動― 漁具生産と魚類資源をめぐる集団間関係― 植月 学
余山貝塚の漁具
釣針の製作
ヤスの製作
余山貝塚の魚類相と大型魚類をめぐる集団間関係
3 余山貝塚の生業活動― 骨角貝器の大量生産遺跡の出現背景― 阿部芳郎
余山貝塚の性格
貝輪の生産と流通
鹿角製漁労具の生産と漁労活動
後晩期の生業特殊化と余山貝塚の性格
第Ⅳ章 地域の文化資源としての貝塚
1 上高津貝塚の遺跡活用 黒澤春彦・一木絵理
施設の概要と環境
活動の現状と遺跡の活用
新たな取り組みと今後の課題
2 かってあそんでひろがって― 陸平貝塚の活用事例― 馬場信子
遺跡活用を始めるきっかけ― 活用に至る経緯―
ハンズ・オン陸平
第Ⅴ章 座 談 会 関東地方の貝塚研究 樋泉岳二・米田 穣・佐々木由香・谷畑美帆
司会:阿部芳郎
霞ヶ浦周辺貝塚関連文献年表 阿部きよ子
あとがき 阿部芳郎