朝鮮派遣・「夷狄」地経営・国史編纂・律令選定など、『日本書紀』『続日本紀』『新撰姓氏録』などにあまた登録して文武両面にわたりその活躍が伝えられる上毛野氏―。
これまで上毛野国の在地勢力としての視角からのみ語られてきた古代有力豪族の真の姿を、系譜を同じくする関係氏族東国六腹の朝臣や始祖後裔渡来伝承の分析を通して、列島・東アジアの視点から描き出す。
熊倉浩靖 [クマクラヒロヤス] 1953年群馬県高崎市に生まれる。1971年京都大学理学部入学。全学連・全共闘運動に参加し中退。京都大学在学中から上田正昭氏に師事。1975年井上房一郎氏の指導のもと、高崎哲学堂設立運動に参画。現在、アジア史学会事務局次長。特定非営利活動法人NPOぐんま代表理事。高崎市政策担当(非常勤)。財団法人高崎哲学堂常務理事。都市行政評価ネットワーク会議分析チームリーダー(総合研究開発機構NIRA招聘客員研究員Research Adviser)。高崎経済大学地域政策学部講師(内発的発展論、非常勤)
序章 上毛野君への旅立ち―東国からの出発
第1章 史録の世界の上毛野君―上毛野君関係氏族の横顔
第2章 東国六腹の朝臣―東国が生んだ貴族たち
第3章 古代東国の王者―上毛野君と上毛野国
第4章 多奇波世君の後―上毛野君と渡来系氏族
第5章 蒼海を渡りて―上毛野君朝鮮派遣伝承の前提
第6章 もう一つの故郷―上毛野君関係氏族と倭王権
終章 東国派遣伝承の実相―上毛野君の成立