半世紀にわたる慶長遣欧使節研究の集大成ー
海外の文書館・図書館に所蔵される古典ロマンス語文献の翻刻・翻訳・史料批判と、国内の邦訳史料の検証を通して、慶長遣欧使節史をめぐる虚像を排し、史実に根ざした真の郷土愛の涵養を提唱する。
大泉光一(おおいずみ こういち)
1943年長野県生まれ。メキシコ国立自治大学東洋研究所研究員、日本大学国際関係学部・大学院国際関係科教授を経て、現在、青森中央学院大学経営法学部大学院地域マネジメント研究科教授。博士(国際関係)。主な著書に、『支倉常長 慶長遣欧使節の真相』[和辻哲郎文化賞受賞]、『捏造された慶長遣欧使節記』、『支倉六右衛門常長「慶長遣欧使節」研究史料集成』[全2巻](以上雄山閣)、『慶長遣欧使節の研究』(文眞堂)、『支倉常長』(中公新書)、『メキシコの大地に消えた侍たち』(新人物往来社)ほか
第Ⅰ部 慶長遣欧使節の実像と虚像
序 章 虚像の「支倉常長ブーム」を憂う
ー歴史を歪める史家たちの郷土愛ー
第1章 慶長遣欧使節研究に不可欠な条件とは
―超難解な使節研究の課題―
第2章 歪曲・捏造された慶長遣欧使節記
―客観的証左のない謬説を糾す―
第Ⅱ部 国宝「支倉常長肖像画」の真贋疑惑の再検証
―贋作疑惑証左の再検討と新たな傍証―
第1章 『支倉六右衛門常長齎歸品寳物寫眞』掲載の「支倉半身像」が原画写真である論拠
―すり替えられた『写真集』の「支倉半身像」の原画写真―
第2章 国宝絵画の虚構を検証する
―国宝現存画の贋作疑惑に対する専門家の証言―
第3章 ローマ・カヴァッツァ伯爵蔵「日本人武士像」の改竄疑惑