100年後にも豊かな海を残すために
1991年以降急速に漁獲量が減った日本の漁業は、2011年の東日本大震災で大きな痛手を負った。特に岩手・福島・宮城は地震と津波による直接的な被害、その後の風評被害や復興・防災事業による環境変化・破壊によって震災以前には戻れていない。広田湾と気仙川周辺の水質などの詳細な科学的調査報告を基礎に、欧米各国の漁業への取り組みや世界の食品卸売市場を通し、豊かな海を取り戻し、後世に繋いでいくための方法を探る。
小松正之(こまつ まさゆき)
1953年岩手県生まれ。水産庁参事官、独立行政法人水産総合研究所理事、政策研究大学院大学院教授等を経て、一般社団法人生態系総合研究所代表理事、アジア成長研究所客員教授。FAO
水産委員会議長、インド洋マグロ委員会議長、在イタリア日本大使館一等書記官、内閣府規制改革委員会専門委員を歴任。日本経済調査協議会「第二次水産業改革委員会」主査、及び鹿島平和研究所「北太平洋海洋生態系と海洋秩序・外交安全保障に関する研究会」主査。
6月から日本経済調査協議会「第三次水産業改革委員会」委員長・主査。
著書に『クジラは食べていい!」(宝島新書)、『国際マグロ裁判』(岩波新書)、『日本人の弱点』(IDP新書)、『宮本常一とクジラ』『豊かな東京湾』『東京湾再生計画』『日本人とくじら 歴史と文化 増補版』『地球環境 陸・海の生態系と人の将来』『地球環境 陸・海の生態系と人の将来 世界の水産資源管理』『日本漁業・水産業の復活戦略』(雄山閣)など多数。
第Ⅰ章 二〇一八~二〇二〇年度広田湾·気仙川総合基本調査
広田湾調査/広田湾周辺の気象状況と特徴/クロロフィル量
第Ⅱ章 最新の世界の海洋生態系管理
陸·海洋生態系の回復への国際社会の動き/二〇一五年国連持続可能な開発目標の採択と実行/オランダ・研究所と自然に配慮の防災 ほか
第Ⅲ章 最新の世界の水産資源管理
欧米の海洋水産・生態系政策と課題/ノルウェーの海洋生態系研究と養殖業の将来/ノルウェーの資源利用税 ほか
第Ⅳ章 世界と日本の食品卸売市場
世界と日本の卸売市場の課題と将来/パリの巨大ランジス市場の成り立ちと現在/青森市中央卸売市場の現状と課題 ほか