多くの偉大な碩学から教えを受け、多くの研究者達を支えた永江秀雄。〈若狭に生まれ、若狭で学び、若狭から学んだ〉著者が遺した珠玉の論考をここに集成。
永江先生は自身の学問に対して厳しい。それも「丹生考」で解る。エビデンスがなければ、断定はしない。それでいて衢の噂話にも耳を傾け、真を追求する。「これでもか、これでもか」と追求する。このあたりの先生の学問への姿勢をもって、私は、先生を、郷土史家とは呼ばない。「永江歴史民俗学」と私は「永江秀雄の学問」を呼んでいる。
(西川照子「刊行に寄せて」より)
永江秀雄(ながえ ひでお)
1927年福井県生まれ。福井師範学校本科卒業。小学校教諭、団体職員、福井県立若狭歴史民俗資料館勤務。
その間、中京女子大学子ども文化研究所客員教授、福井県郷土史懇談会理事、福井県史(民俗部会)調査執筆員、若狭地名研究会会長などを歴任。
2000年文化財保護功労者表彰(文部大臣表彰)、2005年児玉幸多賞(児玉基金運営委員会)など受賞。
2013年2月13日逝去。
著書『若狭に学ぶ』(私家版・2000年)、『若狭の歴史と民俗』(雄山閣・2012年)。
共著『日本民俗文化大系』第13巻(小学館・1985年)、『季刊明日香風』第24号(飛鳥保存財団・1987年)、『日本民俗文化資料集成』第10巻(三一書房・1991年)ほか。
編著『若狭の義民』(松木神社奉賛会・1981年)、『若狭の田の神祭り』(福井県立若狭歴史民俗資料館・1985年)、『若狭の四季』(福井県立若狭歴史民俗資料館・1989年)。
ほかに研究論文、シンポジウム報告集、自治体史(上中町郷土史・高浜町の民俗文化)など多数。
第一章 丹生考 「遠敷」考略説/「わらづみ」の方言/地名「遠敷・丹生」考/「遠敷」から「丹生」を求めて/門入と丹生の研究 ほか
第二章 越前若狭ことば考 「カカ」について/「シャル」と「ンス」/「つらら」の方言/節分とカガシ ほか
第三章 伝説考 甲賀三郎と高懸山/若狭の八百比丘尼/三方石観音と弘法大師伝説 ほか
第四章 若狭春秋考 若狭の天道花/若狭の田の神祭り/てっせん踊り ほか
第五章 民俗考 桑の実/カワッパ川太郎/「魚」と「舟揚場」の方言 ほか
第六章 歴史考 若狭の農民史料/若狭武田氏と織田信長 ほか
第七章 若越方言解読試論
第八章 師恩考