縄文時代の布・アンギン(編布)研究に半生をかけた名著の新装版
第56回(2022年)吉川英治文化賞受賞
日本最古〈縄文〉のまぼろしの布・アンギンの数々の謎を解明・考古学の通説を覆す!!
土偶や出土遺物から素材・道具・製作技法を解明!!
縄文人のファッションを再現、縄文時代の豊かな精神文化にも触れる!!
尾関清子(おぜき きよこ)
1929年(昭和4)愛知県江南市生まれ。愛知県立尾北高等学校卒業、名古屋工業大学工業化学科内地留学。東海学園女子短期大学(現、東海学園大学)講師、
助教授(専攻は生活文化史)を経て、同大学名誉教授。
1996年(平成8)第5回 相沢忠洋賞受賞。
2018年(平成30)博士(文学・立命館大学)。
2022年(令和4)第56回吉川英治賞文化賞受賞。
〈主な著書〉
「縄文時代の布―編布・織布とその製作技法」『生活学1989』日本生活学会、1988年(1988年日本生活学会研究奨励賞受賞)
「縄文時代の編布・織物を実験復元する」『図説 日本の古代』2、中央公論社、1989年
「トチの実のアク抜き」『全集 日本の食文化』11、雄山閣出版、1999年
「編布の縦編法と横網法―試作実験の記録から―」『宮城考古学』6、2004年
「縄文時代草創期・早期の土器底部圧痕について―編布のルーツをさぐる―」『考古学ジャーナル』2007年11月号、ニュー・サイエンス社
『縄文の衣―日本最古の布を復原―』学生社、1996年
『縄文の布―日本列島布文化の起源と特質―』雄山閣、2012年(2018年【増補版】)
1 出会った縄文人の布
2 縄文人の布は細く長く生きた
一遍上人の阿弥衣/越後アンギン/縄文の布の研究をたどる
3 縄文人の衣服の謎
各遺蹟出土の編布と織物/道具と製作技法/編布は織物か編物か/編布と平織の密度について/縄文人の糸作りに挑む/出土編布を試作する/植物性繊維/布をたたく木槌/布を縫い合わせる針/縄文人の刺繍/衣服のデザインは土偶から/衣服の制作にかかる日数
4 縄文の布の謎解き
謎を秘めた土器片の圧痕/姥神遺蹟の土製品と復原試作/荒屋敷遺蹟の土器片と復原試作/編みから織りへの転化のもつ意味/横編法の見直し/経糸の撚りと絡み/解けきれない謎
5 ついに縄文の布は復原できた
6 編布の衰退と今後のゆくえ
7 研究の中で
縄文人の色/北海道斜里町にて/門外漢―貫頭衣を作る―/編布と櫛/竪穴住居の合宿の記録/コモ槌作り/学生の編布製作実習より/トンガ王国のタオバラ/身近にあったカラムシ
8 研究は続く―世界の編布と縄文人の豊かな発想―/『縄文の衣』上梓の前・後―芹沢先生から学んだ考古学/西アジアにも編布はあった/縄文研究と縄文ファッション/編布研究事始め―研究の道のりと今―